理想と現実

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今日は「ずばり一言」ではなく、ずばり長文になってしまった。
動物愛護活動をされている方から電話が有り、「私は動物のために一生懸命、命を救っているのになぜ、ご近所から苦情を言われなければならないのか。腹が立つ」とのことでした。
また「良いことを一生懸命にやっているのに行政は何もしてくれない。日本の法律を変えないとあかん」などなど。
私は一通り、意見を聞き、一言
「貴女は誰のために活動をしているのですか。動物たちの為ですか」
「もちろん、そうですよ」
「じゃあ、周りの意見は参考に聞いて、その他は我慢しなさい。別に周りに認められなくてもいいじゃないですか。命さえ救えれば。」
その方は、納得して電話をお切りになられた。
理想は高いが現実は厳しい。
そうなんです。
理想と現実は違うのです。
動物愛護とは、まず人有りきの活動で有ることは言うまでもない。
動物優先ということでもない。また、人間優先ということでもない。
共に暮らせる環境作りが問題なのです。
人間社会の中に動物たちがうまく入れて共に暮らせる社会が望ましいのです。
法律も、人間社会の中の法律であってその中に動物愛護法があり、動物たちが守られなければならない。
それも人間の責任として実践できる法律にしなければならない。
また、先ほどの相談者の言い分は分かりますが、動物愛護の活動は全ての人に認知されているわけでもない。
動物が好きな人もいれば嫌いな人もいるからです。
活動をしていて分かった事ですが、
分かってもらおうとしてもダメなんです。
誰かに認められようとしてもダメ。
褒めてもらおうとしてもダメ。
一番、大事な事は、目の前に居る不幸な動物を救う。この気持ちだけなんです。
見返りを求めない崇高な奉仕の精神そのものだけなんです。
或る意味、自己満足の世界なんです。
そして1頭でも救えたら、それだけで満足なのです。
私たちのように現場で命を救う者。
啓発を行い動物愛護活動を行う人。
法律を変えようとして動物を守る人。
活動に賛同して後方支援をする人。
動物愛護活動には色々な関わり方があります。
どの方法でもいいじゃないですか。
結果は、動物たちの為になるんだから。
理想は、全ての人々が動物愛護を考え、動物と共生できる世の中を作り上げること。
だが、現実は追いついていない。
モノの考え方もそれぞれ違う。
理想を追い求めても、叶わなければ何にもならない。
現実は厳しく、愛護を出来る範囲でしか行えない。
動物を救おうとしても人力と財力がなければ叶わない。
それ以上に奉仕の精神がなければ成り立たない。
先般、ブログに書き込みが有り、
狂犬病ワクチンと混合ワクチンを同日に接種してもいいのか。とのクレームがありました。
理想は日にちを変えて接種するのがいい。
その理由はワクチンの副作用が起きたとき、どちらのワクチンで起きたのか原因が分からないからだ。
しかし、団体の保護犬は1頭ではない。
100頭もの犬の狂犬病ワクチン、混合ワクチンを別々の日に接種するとなると、犬の搬送や人力の手配など相当の負担となる。
今まで1000頭以上の保護犬に対して、同様の処置を行っているが、未だかって副作用が起きた事実はない。
その裏付けがあって便利な方法を用いている。
血液検査でも同じことが言える。
まず、保護犬に対して検査を行う意味は、フィラリア検査と白血球の数値や肝機能障害に関する検査だ。その項目は17種類だ。
WBC RBC HGB HCT MCV MCH MCHC PLT GLU BUN GPT ALB CRE フィラリア GOT NH3 ALP
クレームの御仁は40数項目を行うのが普通、いや常識と仰るが、
私や獣医師はその必要はないと考える。
特別に状態が酷いとか他の所見が有る場合には、エコーやレントゲン、細胞腫を検査機関に出すなど別の検査項目を行う。
最良、最善の方法でベストを尽くしている。
1頭に係る費用も半端ではない。
それでも最低限の診療は行う。
もちろん、畜犬登録、毎年の狂犬病予防注射、8種混合ワクチン接種もすべて実施している。
以下、団体が行っている飼養管理の説明をします。
保護した当初は、1ヶ月間の隔離期間をもうけて飼養管理する。
感染症の疑いがあるかもしれないからだ。虫がいる可能性もあるから駆虫も行う。
脱水状態の子たちが多い為、食事制限も行う。
食餌も状態に応じてフードを変えている。
ちなみに宗像レスキューでの保護犬たちは、
三分の一の10頭がフィラリア陽性だった。
駆虫の成果で、糞に紛れて回虫が5頭に出た。
脱水と皮下脂肪低下の子は、全頭だった。栄養失調だ。
普段のケアも、常に耳掃除と皮膚の状態が悪い子は薬浴をする。
シャンプー、カット、爪切りは当然ながら行う。
普通の飼い犬以上に管理は万全に実施している。
犬舎は、糞尿の後始末をしてから常に消毒液で消毒しデッキブラシでこすり、毎日洗っている。
コンクリート床なので、常に清潔を保っている。もちろん壁面も洗う。
土や芝のあるドッグランでは、いつも糞を拾い歩いている。
冷暖房設備も万全だ。
冬の寒い時期は、数台のファンヒーターとエアコンで快適な温度設定を保っている。
3時間で切れるファンヒーターは、3時間ごとに夜中まで見回りして、再度、点火しに行く。
年老いた犬には、ヒートシートを毛布で巻いて床に敷き、ケージの上から毛布を掛けている。
夏の暑い時期は、エアコンの冷房と扇風機を使っている。
床にはクールボードを設置し、ドッグランでは木陰を作り、過させている。
飲み水には、氷を作って入れている。時にはその氷を食べる子もいる。
製氷機がないので普通の冷蔵庫と冷凍庫で氷受皿を使い、犬専用の氷を作っている。
結構、大変な作業だ。
犬たちがいるケージは、1頭ずつ個体管理をしている。
毎日の糞の状態を見ているのだ。
糞の状態で毎日、フードの種類を変えている。犬の健康状態は糞の形状で判るからだ。
飲み水も常に絶やす事はない。
朝、昼、夜と見回り、水がこぼれていたり無かった場合は補給する。
給水器は使用せず、常に新鮮な水が飲めるようにステンレス製の容器に入れている。
毎日、運動をさせるためにドッグランで遊ばせている。
仲の良い子は一緒に、相性の悪い子は別々に。
天気の良い時は、何回も外で運動させる。
雨天の日も、場所を変え、犬舎内で運動をさせている。
雨の日が一番、辛いところだ。
ボランティアさんが多い時は、通常の倍は遊びと運動をさせている。時間があれば、訓練も行っている。
老犬は事務所に入れて夜も様子をみて観察しています。
私たちは、犬優先で日々、飼養管理をしています。
保護犬たちは、すべて過去が不幸だった子たちなので、精一杯、目いっぱいの愛情を持って管理をしています。
クレームを言われる方は、毎日の活動を見られたらいい。
365日、1日も休まず、お世話ができますか。
お正月もゴールデンウィークも関係なし。
口だけで文句だけ言って休日に休める人はいい気なものだ。
今まで、色んな誹謗中傷はあったが、犬の管理方法でクレームは一度もなかった。
犬舎の衛生面では、保健所の方が満点をくださっっています。
逆に見習わなければならないな。と言われるほどです。
考え方や方法、手段は違っても、出来る事を出来る範囲できちんと行っていれば、問題はないと思います。
文句やクレームを言われる方は、ご自身で出来る事をやられたらいい。
保護や救命が目的であるから、理想に出来るだけ近付くようにすればいい。
理想は、口だけでは何も達成できない。
汗にまみれて糞尿にまみれてこそが、現実なのです。
以上、愚痴っぽく言ってしまったが、
保護犬のお世話をするということは、彼らの命を預かっている。ということなのです。
決して疎かに粗末には扱っていません。
私個人を誹謗中傷するのはいくら言われても構わないが、
お世話下さっているスタッフやボランティアさん、支援者さんたちを冒涜するような言動にはしっかりと抗議したい。
広島ドッグパーク崩壊事件から4年が過ぎようとしていますが、未だに騒いでいる連中がいます。
現実も見ず、ただ噂や誹謗中傷を書き込み、吹聴する輩です。
訴訟も起こされましたが、司法の判断が解決に導きました。
でも数人がまだ騒いでいます。
真実を認めたくない連中です。
訴訟を起こしている暇があるなら、糞尿に塗れてボランティアに参加すればいい。
1頭でも自分で救ってみればいい。
自分の目で現実を見ればいい。
何が寄付金詐欺だ。
詐欺という言葉を使うのは名誉棄損にあたる。
それらしい書き方をしても罪になることを、ネットやブログで書いている連中にも忠告しておこう。
知ったかぶりをしないことだ。
先日、警察署から連絡があり、再度、名誉棄損などで告訴しますか、との問い合わせに、
これ以上、事実無根の騒ぎを起こす人物だけ告訴します。その他の方のは取り下げます。と、返答しました。
本意ではないが、これも致し方ない。
お陰さまで、保護したワンたちは快復に向かっていますので、ご安心ください。
レスキュー後のこれからが、飼養管理の本番です。
出来る範囲のご支援で結構ですので、物資援助、基金援助の後方支援を、今後ともよろしくお願いを申し上げます。
統括が綴る「活動日誌」も併せてご覧ください。
http://teamangels.blog89.fc2.com/
動物虐待監視委員会入会申込書
レスキュー基金